南部杯2025PLAY BACK

 ベストの1600m戦で持てる能力をフルに発揮
 ウィルソンテソーロがOROで自慢の斬れをさく裂!!

 ウィルソンテソーロが初来盛したのは2023年、4歳夏だった。デビュー4戦目からダートにシフトして4連勝。オープン昇級戦は5着に終わったが、続いてカキツバタ記念(JpnⅢ 名古屋1500m)へ挑戦。1番人気ドライスタウトとの叩き合いを制し、重賞初制覇。次のターゲットにマーキュリーカップを選んだ。ダート戦では最長1800mまで。距離克服が課題の一つだったが、難なくクリア。2着テリオスベルに4馬身差をつけて完勝した。
 「ダートでも切れ味を発揮できるのがこの馬の武器。今回、2000mも坂もこなしてくれたからね。この先の夢が広がりました」と小手川準調教師(当時所属)。
 さらに白山大賞典(金沢2100m)で重賞3連勝をマーク後、満を持してG/JpnⅠ行脚の旅を始めたが、壁は厚かった。昨年のマイルCS南部杯までコリアカップ(GⅢ 韓国ソウル)をはさんで国内外を問わずG/JpnⅠへ挑戦すること12回。
 2024年、佐賀で行われたJBCクラシックで悲願のJpnⅠタイトルを手にし、川田将雅騎手は故郷に錦を飾ったが、2着が5回。“シルバーコレクター”の異名をつけられていた。
 昨年、ウィルソンテソーロは中東2戦から帰国後、帝王賞5着から参戦。2着シックスペンスの4馬身差をつけて完勝したが、川田将雅騎手のレース後コメントがすべてを物語っていた。
 「1800m、2000mで世界でも戦ってきたが、1600mがちょうどいい。気分よく競馬をすれば結果も伴うと常々、思っていました。初めて騎乗したのが名古屋(かきつばた記念)でしたが、1500mでも力んで走っていた。それを時間かけて1800m、2000mで我慢させるようにしてきましたが、いつもレースで疲れ果てた感じでした。ですが、今日は最後まで気持ちよくゴール板を通過できました」
 この特設コーナーでリプレイをご覧になってください。川田騎手の言葉が浸みるように伝わってくるはずだ。
 ご存じの方も多いと思うが、ウィルソンテソーロはイクイノックスと同じくキタサンブラックの初年度産駒。今年はJpnⅠ・かしわ記念を制し、JpnⅠ3勝目をあげた。南部杯2連覇はもちろんのこと、GⅠタイトルを何としても手にしたいところ。いや、是非とも獲得して“ゴールドコレクター”と呼ばれてほしい。

文・松尾康司

有力馬の紹介HORSE

JRA代表

ウィルソンテソーロ

牡7歳
父:キタサンブラック
高木登きゅう舎・美浦

 2023年、JpnⅢ・カキツバタ記念を制し、JpnⅢ・マーキュリーカップへ参戦。初のダート2000mを克服して快勝。続いてJpnⅢ・白山大賞典と重賞3連勝を飾り、満を持して大舞台に登場。JBCクラシック(大井)5着からチャンピオンズC、東京大賞典で連続2着。以降も国内外G/JpnⅠへ挑戦し続け、JBCクラシック(佐賀)でついにビッグタイトルを獲得したが、前後して2着惜敗の連続。シルバーコレクターと言われたが、昨年の南部杯を4馬身差で圧勝。今年もかしわ記念を制し、マイルに新境地を拓いた。過去盛岡2戦2勝と最も得意とする舞台。南部杯2連覇から悲願のGⅠタイトルを獲得したいところだろう。

ルクソールカフェ

牡4歳
父:アメリカンファラオ
堀宜行きゅう舎・美浦

 全兄はフェブラリーS2連覇、南部杯を制し、2022年の最優秀ダートホースに選ばれたカフェファラオ。兄と同様、抜群のダート適性を見せてデビュー3戦目から4連勝し、ケンタッキーダービー(チャーチルダウンズ競馬場)へ挑戦12着。帰国初戦のジャパンダートクラシックはナルカミの3着に敗れたが、続くGⅢ・武蔵野ステークスを完勝。初重賞を手にした。以降3戦は15着、5着、11着に終わったが、札幌遠征・エルムステークスでロングスパートを決めて快勝。好ムードで南部杯へ参戦し、史上初の兄弟制覇を目指す。

レーベンスティール

牡6歳
父:リアルスティール
田中博康きゅう舎・美浦

 三冠出走はならなかったが、GⅡ・セントライト記念を優勝。その後、エプソムカップ、オールカマー、毎日王冠、中山記念とGⅡ3勝、GⅢ3勝。芝1800m~芝2200mでの強さが際立っているが、GⅠでは8着、8着、12着、6、7着といずれも着外に終わっている。それならばとダートに矛先を変えて南部杯へ駒を進めてきた。中山記念1着、大阪杯、安田記念は昨年2着シックスペンスと全く同じステップ。シックスペンスは今年、安田記念を快勝。初のGⅠタイトルを獲得した。父がリアルスティールならダートもこなす素地は十分。

ぺリエール

牡6歳
父:ヘニーヒューズ
黒岩陽一きゅう舎・美浦

 ダートを舞台にデビュー2連勝を飾り、JpnⅠ・全日本2歳優駿3着。続く一戦で首位を奪回し、UAEダービー4着からGⅢ・ユニコーンSを快勝した。その後は足踏みが続いたが、昨年のエルムステークスで重賞2勝目をマークした。以降3戦とも10着に終わったが、リステッドレース4着からエルムSでルクソールカフェの2着。上昇ムードに乗ってきたのが心強い。

メイショウハチロー

牡4歳
父:シニスターミニスター
福永祐一きゅう舎・栗東

 デビュー2戦目の中京ダート1800mを勝ち上がったが、1勝クラスで頭打ちの時期が続いた。しかし昨年夏を境に本格化。2戦連続で勝利をあげて3勝クラス2戦2着から前々回快勝。オープン入りを果たし、いきなりGⅡ・東海ステークスへ挑戦。果敢に先手を主張して強じんな粘りを発揮して0秒1差2着を確保した。前々走で東京ダート1600mを1分35秒3の好タイムで勝利し、盛岡ダート1600mは歓迎。盛岡コースを知り尽くした福永祐一調教師が名乗りを上げた。

ストレングス

牡5歳
父:シニスターミニスター
寺島良きゅう舎・栗東

 2024年10月に2勝クラスを卒業したが、以降は勝ち切れないレースの連続。ようやく1年4か月後に勝利を飾り、晴れてオープン入り。昇級3戦目を快勝し、JpnⅢ・サマーチャンピオン(佐賀)へ挑戦。先行争いに加わり、終始外目を回りながらも4着に粘った。メインの距離はダート1400mだったが、前々走の福島ダート1700mで距離を克服したのが収穫。

キタノズエッジ

牡5歳
父:ジョーカプチーノ
畑端省吾きゅう舎・栗東

 京都ダート1400m・2歳新馬戦を快勝し、一戦置いて小倉ダート1700mで2勝目をマーク。4歳5月に3勝クラスを勝ち、オープンでも2勝をマークした。気になるのは前走・東京ダート1600m6着。ダート1200m~1400mをメインに好走し、マイル対応がネックとなりそう。

岩手代表

ヒロシクン

セン7歳
父:ドレフォン
佐藤雅彦きゅう舎・水沢

 一昨年5月、中央1勝クラスから転入後、通算13勝。重賞も8勝をマークして前走は青藍賞を逃げ切って圧勝。史上初の同レース3連覇の偉業を達成した。また4走前は59キロの酷量を背負いながら水沢1600mのレコードを大幅更新し、水沢1600m8戦8勝とパーフェクト成績を誇る。南部杯は一昨年15着。盛岡マイルは割り引きが必要だが、「南部杯を盛り上げたい」と佐藤雅彦調教師、そしてオーナーは挑戦を決断した。

サクラトップキッド

牡5歳
父:ビーチパトロール
伊藤和忍きゅう舎・水沢

 2、3歳時はフジユージーンの陰に隠れていたが、年を重ねるごとに地力アップ。昨年はJpnⅢ・マーキュリーカップで4着に善戦。さらに金沢遠征2戦から帰郷後、北上川大賞典2連覇、桐花賞を制して年度代表馬に選出された。今シーズンは未勝利だが、青藍賞2着ながら見せ場を作った。本質的にマイル向きではないが、チャレンジ精神あるのみ。

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南部杯攻略
POINT

南部杯の歴史

 南部杯の創設は1988年。第1回から第7回まで北関東以北の地区限定競走で実施。水沢1600mを舞台に『北日本マイルチャンピオンシップ南部杯』のレース名で行われたが、1995年、JRA、全国の地方競馬にも門戸を開放。名称も『マイルチャンピオンシップ南部杯』へ変更し、JRA・ライブリマウント、岩手・トウケイニセイの対決は“天下分け目の決戦”と言われたが、結果はライブリマウントに軍配。翌年3月、第1回ドバイワールドカップへ遠征した。
 1996年、新盛岡競馬場=OROパークの完成に伴い、盛岡ダート1600mへ移行。“砂の女王”ホクトベガが圧勝し、1998年はメイセイオペラが優勝。2001年はアグネスデジタルなど名だたるダート強豪が歴代名馬に名を連ねてきた。
 また南部杯はリピーターが多いことでも有名。北日本時代も含めるとトウケイニセイ、ユートピア、ブルーコンコルド(3連覇)、エスポワールシチー(2連覇、3度優勝)、ベストウォーリア、コパノリッキー、アルクトス、レモンポップと計8頭が連覇以上を達成している。

1番人気6勝、続いて4番人気2勝

1着 2着 3着 単勝率 連対率 複勝率
1番人気 6回 1回 1回 60% 70% 80%
2番人気 1回 4回 2回 10% 50% 70%
3番人気 0回 0回 1回 0% 0% 10%
4番人気 2回 1回 1回 20% 30% 40%
5番人気 0回 1回 2回 0% 0% 20%
6番人気以下 1回 3回 3回
 1番人気の優勝は2023年、2024のレモンポップ(2度とも)からカフェファラオ、アルクトス(2度目制覇)、コパノリッキー(2度とも)。勝率60%、連対率70%、複勝率80%と信頼度は高い。過去10年で1番人気で馬券対象から外れたのは昨年のサンライズジパング、2020年のサンライズノヴァだが、それでも4着入線を果たした。
 2番人気の優勝は2018年ルヴァンスレーヴだが、南部杯で史上初めて3歳馬優勝を果たし、続いてチャンピオンズカップも快勝した歴史的強豪。4番人気の優勝は昨年のウィルソンテソーロ、2019年サンライズノヴァ。6番人気の優勝は2020年アルクトスだったが、日本レコードで快走。翌年には堂々1番人気で2連覇を果たした。
 余談だが、1番人気受難の時代もあった。2004年(1着ユートピア)から2010年(1着オーロマイスター)まで7年連続で敗戦。また2006年から2008年まで史上初となる南部杯3連覇の偉業をブルーコンコルドが達成したがすべて2番人気での優勝。いま考えると七不思議だが、2012年以降は1番人気が9回優勝している。

5歳馬4勝、6歳馬4勝

1着 2着 3着
3歳 1回 0回 0回
4歳 0回 2回 1回
5歳 4回 3回 2回
6歳 4回 5回 3回
7歳 1回 0回 4回
8歳 0回 0回 0回
9歳 0回 0回 0回
 5歳馬の優勝は一昨年のレモンポップ、カフェファラオ、アルクトス、サンライズノヴァ。6歳馬は昨年のウィルソンテソーロ、レモンポップ、アルクトス、コパノリッキー。過去10年では4歳馬の優勝がなかったが、2014年にベストウォリアーが4歳で優勝。そして7歳馬の優勝はコパノリッキー。ダート競馬は息の長い活躍ケースが多く、南部杯も連覇が多いことで定評がある。
所属(地区)別による上位馬(左から2025年→2016年)
1着 東・東・東・東・東・東・西・東・西・西
2着 東・西・園・西・西・西・東・西・東・西
3着 西・東・西・西・西・大・西・西・西・西
(東=美浦 西=栗東 園=園田 大=大井)
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