暑いくらいの好天だった前日から一転、曇りがちの一日となった今日の盛岡競馬場。結局は11Rの発走の頃から雨になったが、メインレースの頃はまだ時折雨粒が落ちてくるくらいで何とかもってくれた。
注目の先行争い、ゲートが開いてタニノレジェンド・ダンストンルティーの2頭がやや立ち後れ気味になったがすぐ巻き返す。数頭横一線でしばらくもみ合った後、カゼノジュエリーが集団の中から抜け出してきた。これを追うのは同厩の1番人気ビュレットライナー、ウメノレイメイもしばらくこの2頭を追っていたがFM岩手杯の時と同様行き脚がやや鈍く、こちらも同厩のウメムスメが先行する。
ウメノレイメイはサイレントカイザーやタカノグラディウスにも前に行かれて、先行5頭ほどが形成する「壁」に前を塞がれる格好になった。この辺について沢田騎手は「前(FM岩手杯)もそうだったので行き脚がつかないのは覚悟していたが、以前に増して行き脚が悪い」と半ば白旗ムードだったそうだが、ペースがそれほど速くなかったおかげで置かれすぎる事はなかった。結果的にはそれが幸いする事になる。
1馬身ほどのリードを保ったまま逃げ続けるカゼノジュエリー。これをウメムスメやビュレットライナーが捉まえに行く前に、外の2頭・サイレントカイザーとタカノグラディウスが動いてレースが急激に動き出す。ウメムスメは前を捉えきれないまま失速・脱落、カゼノジュエリーも外から並ばれたあたりで苦しくなった。先頭は大外を回るタカノグラディウス、サイレントカイザーがこれを追う形へと一変したが、コーナーワークでビュレットライナーも盛り返す。
ようやく行き脚を取り戻したウメノレイメイはまだ5、6番手。しかしこの辺での脚色はしっかりしており、鞍上も前が開くところを探す余裕があった。この頃、後方ではタニノレジェンドがグングンとポジションを上げてきていたのだが、まだ先頭からは離れたところでの動きでそれほど目立ってはいない。
4コーナーを回って直線へ、先行集団がパッと横に拡がった。最内カゼノジュエリーから外タカノグラディウスまで横一線になっての攻防なのだが、しかし各馬ともここに来て微妙に伸びを欠き、それぞれ決定打を繰り出せない。
そうこうするうちに馬群を割ってウメノレイメイが伸びる。一完歩毎にジリジリと、しかし確実に追い上げてくるところはFM岩手杯のリプレイを見るようだ。しばらく競り合っていたビュレットライナーを退けてウメノレイメイ優位が確定する。
だがしかし、これで決着が付いたわけではなかった。そうして先頭に立ったウメノレイメイをも凌ぐもの凄い脚で伸びてくる馬が一頭。白い帽子、タニノレジェンドだ。直線入り口ではまだ最後方に近い位置にいた同馬だが、直線はまさにごぼう抜き、ちょうどウメノレイメイが作ったルートを突き抜けて、あっという間にウメノレイメイに襲いかかったのだ。
一瞬のうちに馬体が並ぶ。勢いは完全にタニノレジェンド優勢だったがウメノレイメイにも一足先に抜け出していた分の貯金があった。2頭がほとんど並んで飛び込んだゴールだったが、写真判定を待つまでもなく、わずかながらもウメノレイメイがリードしているのが見て取れた。
「短距離が合うんじゃないかと思い、密かに狙っていた」というタニノレジェンド・小林騎手。乾坤一擲の大勝負はわずかに及ばなかったが、沢田騎手をして「ゴールがあと数m先ならば交わされていた」と肝を冷やさせた。そして3着ウィンエヴリーは、直線の攻防の中で大外に持ち出さざるを得なかった、そのロスが最後に響いた形になったのが惜しかった。
勝ったウメノレイメイは父ヒシアケボノ、母タニノマイヒメの牡8歳。前走の大敗が嫌われたのか今回は2番人気に留まったが、そこは自他共に認める短距離巧者、終わってみればいかにもこの馬らしい勝ち方でこのレース連覇、芝1000m特別5勝目を挙げた。
ちなみにこのレース、2番人気→3番人気→4番人気の順で入線したにもかかわらず馬番3連単は32,200円の高配当になったのだが、ウメノレイメイが勝った盛岡芝1000mの特別5勝、ダート1000m特別1勝の計6勝のうち実に5度が万馬券決着。意外に波乱を巻き起こす馬だ。
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今回も先行争いで前に行けなかったが、FM岩手杯の時もそうだったので腹を決めるのは早かった。ただ今日は前にも増して行けないから“今日こそダメだろう”と思っていたが、そんなにペースが速くなかったおかげで致命的に置かれずに済んだ。流れ落ちついたところで行き脚がつき始めたら後は進路を探すだけ。前が開いたらしっかり伸びるし、そこはやっぱり適性があるんだね。(沢田盛夫利騎手)