今週から開幕した盛岡競馬だが、コース状態は芝・ダとも木曜に降った雨の影響が残った。芝コースも良馬場発表ではあるがいくらか柔らかさを感じる状態。
そんな中行われた2歳の芝重賞「ジュニアグランプリ」。人気を集めたのは岩手のベストマイヒーローで単勝1.3倍の断然の人気ぶり。2番人気も岩手シーグランディ。ホッカイドウ勢はスカイキングラブが9.0倍の3番人気、スクランブルエッグが10.2倍の4番人気。おおむねこの4頭の戦い、というオッズの動きだが、中でも岩手勢がリードしているところにホッカイドウ勢の連覇を阻止して欲しいと願う岩手ファンの気持ちが現れていたように感じられる。
 そして、ハナに立ったのもその1番人気・ベストマイヒーローだった。隣の枠のスカイキングラブがあおり気味に出遅れたのを見たのか一瞬頭を上げかけたが、ゲートを出てからのダッシュではしっかり加速。ゲートから1ハロン進んでゴール板、そのあたりではもう1馬身ほどリードを作った。追ってくる2番手はスクランブルエッグ、内からはシーグランディも追い上げてきている。スカイキングラブは最後方から立て直しつつ外を通って上昇中だ。
そうして敢然とハナを奪ったベストマイヒーロー。メンバーの力・自分の力量を考えて主導権を奪い取った方がいい・・・という判断だったのだろうが、しかしすんなり先頭に立った、というわりに苦しい走りになっているのが徐々に見え始める。 この間、1周目の1コーナーあたりでトーホクスピリットがフラフラと外に膨れ、間もなく競走中止。残るレースは8頭で争われる事になった。
やや速いペースで向こう正面に飛び込んでいったベストマイヒーローなのだが、コーナーのあたりからちょっとパタパタとした素振りを見せていたのが、向こう正面に入っても依然刺さろうとしたりしてすんなりと進んでくれない。
そうして立て直しているうちにスクランブルエッグやシーグランディが迫ってきて、先ほどまでのリードが無くなった。やや追っつけ気味に詰め寄ってきた2頭に比べてベストマイヒーローは鞍上が手綱を引っ張り気味にしているように、行きたがっているままなのかなかなか折りあってくれないようだ。
それでも、並ばれた事でスムーズさを取り戻したベストマイヒーローは2頭に先頭を譲ることなく直線まで辿り着いた。2番手スクランブルエッグにしても、前も気になるがずっとピッタリ食い付いてくるシーグランディも気になるところ。芝は最後まで気が抜けないとはいえこの3頭とそれ以外の手応えの差ははっきりとしてきており、そうなればなおさらお互いを意識しあう事にもなる。この辺りは3頭それぞれの駆け引きもあった。
 コーナーをスムーズに回りきってベストマイヒーローが真っ先に直線に飛び込んでくる。スクランブルエッグはやや遅れ、外シーグランディはさらに少し離され気味。ベストマイヒーローは、決して楽な脚色ではないにせよジリジリと差を拡げ、坂の下あたりでは2馬身ほどに、そしてさらに拡げる勢いだ。
一方のスクランブルエッグは突き放された事で闘志が薄れかけたのか、伸びを欠いたままシーグランディにも捉えられそうになっている。道中は折り合い欠き気味だったが、結局はベストマイヒーローの地力が勝っているのか・・・。

(写真上/ベストマイヒーローは2着。「返し馬からテンションがおかしかった。レース中もずっと何度もバカつこうとして・・・」と菅原勲騎手。
写真下/スカイキングラブは6着だった。「芝はこなせるが、今日は馬場が悪くノメリ気味だった。馬もまだ子どもっぽい。素質はかなり高いと思っているので今後に期待しています」と五十嵐騎手)
だが、シーグランディに追い上げられた事でスクランブルエッグの闘志に再度火がついた。坂を駆け上がったところで急激に盛り返してくるスクランブルエッグ。ベストマイヒーローの方は、逆に脚色が鈍りはじめている。一時は3馬身ほどにまで拡がっていた2頭の差が、見る間に無くなっていく。
ゴール寸前で2頭の馬体が並ぶ。どちらも一杯一杯、しかしわずかにスクランブルエッグの方が余力があるか・・・。最後の一押しでグッと伸びたスクランブルエッグが明らかに抜けだしたところがゴール。村上忍騎手の久々のガッツポーズが、決着の瞬間を告げた。
ベストマイヒーローは2着、3着にはシーグランディが入った。スカイキングラブは勝馬から1秒6離された6着だった。

勝ったスクランブルエッグは父タイキシャトル、母サニーサイドアップの牝2歳でシャダイファームの生産馬。母は桜花賞5着など3歳牝馬クラシック全てに出走した実力馬で産駒は初の重賞勝ちとなった。
なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズのローエングリン賞となっており、優勝馬馬主には副賞としてローエングリン号の配合権利が贈られた。
村上忍騎手インタビュー
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