金曜までに降った雨の影響で芝コースは「重」の発表。芝の生育そのものはいい状態という事だが馬が駆け抜けると水しぶきが上がり、騎手たちも一様に「ノメる馬場」という。そんなコース状態が勝敗の行方に影響を及ぼしたのかもしれない。
スタートはややばらっとした感じになった。少し出遅れ気味だったのは大外のオンワードアコール。ダートでの5連勝をかわれて断然の1番人気に推されていたが、一瞬タイミングが合わないような感じになってしまった。ダイワフォーチュンもそんな感じだったが、2頭の間のダイショウローズがロケットスタートを決めたから余計にそう見えたのかもしれない。
そうして一気に飛び出す構えを見せた3番人気ダイショウローズ、そして2番人気スズノエイユウだったが、ハナ争いを始めたのは内のフレッシュゴールドとイモータライズ。出ムチをくれてまで互いに後に引かぬという競り合いを始めた2頭を見て、他の馬達は無理に参加する事はないと思ったか控え気味の姿勢を採った。
こうして2頭で飛び出していったイモータライズとフレッシュゴールドだが、その実、ペース自体は決して速くはなく、むしろスロー。この2頭が1馬身ほどの圏内で進み、2馬身ほど置いて残る8頭がほぼ一団という形。一見、前の2頭がやりあっているように見える。しかし逃げるイモータライズの内田騎手は「いいペースに持ち込めた」とほくそ笑んでいたというし、フレッシュゴールドの佐々木騎手も想像以上に手頃な流れになったと思いながら進んでいたそうだ。
これは3番手にいたスズノエイユウ・沢田騎手の考えも見ておいた方がいいだろう。「さほどペースが速くないのは感じていたが、前よりも後ろの動きが気になっていた」。そう、スズノエイユウの後ろにダイショウローズ・ダイショウルシアンの2頭が雁行、さらにその直後にはオンワードアコールもやって来ている。特にダイショウローズがそこにいた事で、中団に固まった人気上位のグループが牽制しあい、前の2頭へ振り向ける意識が薄くなっていた事は否めないだろう。
加えてコース状態。3コーナーを前にして上昇を始めた中団グループだが、思った以上にノメる馬場に足を取られて思うように差を詰められない。結局4コーナーを回って直線に向いてもまだ前の2頭との間に1馬身以上の差が残り、さらに直線坂下、最もノメりやすい部分で追い上げの出鼻を挫かれる格好になってしまった。
内はラチ沿いから外はコース中程まで、ずらっと拡がって追い上げようとする後続なのだが、前2頭との差はなかなか縮まらない。イモータライズは程なく失速して馬群に呑まれていったが、フレッシュゴールドの方は依然勢いがある。
それでもスズノエイユウが猛然と追い上げ始めた。一完歩毎に差を縮め、いやそれ以上の勢いで見る間にフレッシュゴールドを追いつめるスズノエイユウ。勢いは完全にスズノエイユウが優っている。ゴール寸前、きっちり捉えてなお突き抜けたかに見えた。
だがゴールの瞬間、スズノエイユウが首を上げ、フレッシュゴールドは目一杯首を前に出していた。ゴール前後の数メートルはほとんどスズノエイユウが優勢だった。ゴールの一瞬のみフレッシュゴールドが前に出ていた。この一瞬の明暗が勝敗を分けた。
勝ったフレッシュゴールドは父グランデラ、母ローマンダンスの牝4歳。昨夏に一度転入して3勝を挙げてJRAに戻っていたが、結局4戦して全てしんがりかブービー負け。この7月から再度岩手に戻ってきて、2戦目で特別勝ちを果たす事になった。
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JRAでも芝の良積が無い馬でしたが、返し馬の感じでは芝も悪くないと思いました。他の騎手はノメると言っていたが自分のはそうでもなく、ペースも手頃な、遅い流れになったので“もしかして”と。最後は差されたと思いましたよ。やられたな、と思っていたら残っていて。よく粘ってくれました。(佐々木忍騎手)