4月も下旬になったというのに肌寒い日が続く水沢競馬場。向こう正面の桜並木もようやく2〜3分咲きという所で、日曜も日差しこそあったものの気温は低めで桜の開花がなかなか進まない。
11頭が出走した田沢湖賞は、前売り段階では半数以上の馬が単勝10倍以下となっていたのだが、発走が近づくにつれハッピートーク単勝1.2倍、キラメキパスワード5.8倍、コアレスリーヴァ6.9倍の3頭に絞られていった。オッズは“ハッピートーク以外にも勝つチャンスはあるのでは?”という感じに動いたが、レースはハッピートークのワンサイドゲームだった。
ゲートが開いてダッシュよく飛び出したのはその1番人気ハッピートーク。数頭が一斉に先行争いに出てくる中、頭ひとつ抜けたスピードでリードしようとする。しかし、内枠のヴィーナスゴルペルやヤマニンペティアン、コアレスリーヴァらも引かなかったため、ハッピートークは内の馬に譲る格好で控える形となった。ハナに立ったのはヴィーナスゴルペル、ハッピートークはその外の2番手につけ、ヤマニンペティアンが内側の3番手。キラメキパスワードは中団、デルマジュピターの白い馬体が後方に見える。
逃げるヴィーナスゴスペルが緩いペースの逃げを選択し、ハッピートークもそれに併せて控えたせいでペースは遅め。1000m通過が1分3秒前後だったから、コース状態も考慮すれば「超」まではつかないもののかなりのスローペースだ。
そんな淡々とした流れを見て、中団の馬たちが先手を打って仕掛け始めた。まずキョウエイノーブルがハッピートークとの差を詰めて横に並ぼうかという所まで上昇。キラメキパスワードも外から急速に迫ってくる。さらにその後方からはコアレスリーヴァ、サイレントヘネシー。内のヤマニンペティアンも隙あらば割り込もうと、ハッピートークの直後に張り付いている。
ハッピートークの方は、恐らくはもうしばらく前に引っ張って貰いたかったのだろう。とはいえただ被せられるのも剣呑とペースを上げると今度はヴィーナスゴスペルが苦しくなってしまった。結局、我慢に我慢を重ねたハッピートークだったが、3コーナーで早くも先頭に立たされる形になった。
この時点で外にはキラメキパスワードが馬体を併せつつあった。後方からは何頭か追い上げてくる馬もいたがまだちょっと離れており、やはりこの人気2頭の一騎討ちになるのかと思われた。
だが、4コーナーで気合いのムチを入れたキラメキパスワードに対し、ハッピートークはまだ持ったまま。その勢いのままにリードを拡げると、キラメキパスワードはもうついていけなかった。
あとはハッピートークは、気を抜きすぎないよう軽く気合いをつける程度のクルージング。それで軽々リードを拡げつつ、ただただゴールを過ぎるのを待つばかりとなった。
2着争いは混戦となった。キラメキパスワードを巡ってサイレントヘネシー、ヤマニンペティアン、さらにテツタイソンまでが加わって内外一線の激戦に。一瞬はサイレントヘネシーの脚色が上回ったかに見えたがキラメキパスワードも渾身の粘り。最後はハナ差でキラメキパスワードが2着を守り切った。
3着はサイレントヘネシー、4着はテツタイソンで最内に突っ込んだヤマニンペティアンが4着。この3頭はいずれも人気薄でもしキラメキパスワードがまとめて差されでもしていたら、ハッピートークからこの3頭へいずれの組み合わせでも3連単は万馬券になっていた。そういう意味でも、キラメキパスワードは人気馬の意地を見せた事になった。
勝ったハッピートークは父アグネスデジタル・母モニュメントバレーの牡4歳。これでこの春3連勝、特別2連勝となったが、それよりなにより11RのA級二組と遜色ないタイムで走っている事の価値が高い。いずれもっと上のクラスで活躍しておかしくない馬だと言えよう。
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