雨が降ったり止んだり、気温が上がったり下がったりの天候となった水沢競馬場。7R頃には非常にくっきりとした虹も姿を現した。
断然の人気を集めたのは3歳マヨノエンゼルで単勝1.4倍。続いて船橋からの遠征馬リュウノケンシロウが4.2倍、岩鷲賞の勝ち馬ダンストンリアルが6.2倍となっていたが、馬複・馬単等は3番絡みもしくは3番頭からの一本かぶり。あくまでもマヨノエンゼル断然というムード。レースでも同馬は人気通りのパフォーマンスを見せる事になった。
ソフトパワーがやや立ち後れ気味だった他はほぼ一線で飛び出したスタート、先行争いを制したのは大外・リュウノケンシロウだった。スタートダッシュ、二の脚の加速も速かった同馬は不利な大外枠にもかかわらず最初の4角入り口で早くも先頭を確保。フリーモアやグッドストーンを従えると早速ペースを落とし始める。
前半3ハロンが37秒後半、1000m通過が1分4秒近く。スタート直後の先行争いとその後のポジション争いがやや激しかったせいか流れが速くなったように感じられたが、実のところはかなりのスロー。馬群が1〜2コーナーを回るあたりではもう、ペースは完全にリュウノケンシロウの手中にあった。
そんな流れの中、マヨノエンゼルはいつもより前の4番手あたりにつけていた。「位置取りはゲートを出たなりで良いと思っていたが、意外に前につける事ができた(小林騎手)」という事で、ペースも考えれば絶好のポジション。一方、3番人気ダンストンリアルや5番人気サイレントエクセルはさらにその後ろの6〜8番手で馬群の中。どちらも行き脚の悪さに苦心しつつの追走だったようだ。
向こう正面、リュウノケンシロウは依然として緩いペースに押さえ込んで走り続ける。むしろ後続の方が行き脚が悪いというか、中団以降がごった返しているものの各馬何となく同じような勢いで、際だってポジションを上げようという馬が見あたらない。マヨノエンゼルもこの辺では「砂をかぶってちょっとひるみ気味(小林騎手)」で少し位置取りを下げ気味だ。
3コーナー、リュウノケンシロウは後続を1馬身半ほど離しつつ余裕の手応え。2番手グッドストーンは「いつもこの辺で置かれ気味になるから、そこで離されないようについて行ければ・・・と(菊地騎手)」、懸命に食い下がり、なんとか2番手を守り続けている。

3コーナーを回るところではこの2頭が後ろを2、3馬身ほど離しただろうか。ここまでのペースも考えれば完全に逃げ馬の展開なのだが、そんな2頭に向かってあっという間に差を詰めてくる赤い帽子。マヨノエンゼルは苦もなく前の2頭を射程圏に納めてしまった。
4コーナーで3頭が一団になったのもつかの間、マヨノエンゼルはリュウノケンシロウを並ぶ間もなく捉えるとあっさり振り切った。
リュウノケンシロウも決して余力がなかった訳ではないが、こうも脚色が違えばどうしようもない。直線は全くもってマヨノエンゼルの独擅場、軽々と突き抜けたマヨノエンゼルが2着以下に3馬身もの差をつけて重賞制覇のゴールを駆け抜けた。
2着はリュウノケンシロウ、3着以下はやや接戦となったがグッドストーンが3着に粘り切り、11番人気オヤマハリケーンが良く踏ん張って4着。リュウノツバサは最後オヤマハリケーンとの競り合いに敗れて5着となった。
(写真/リュウノケンシロウは絶好の流れに持ち込んだものの2着。「これ以上ないというペースを作ったのに、あんな脚を使われてはどうしようもない」と菅原勲騎手も嘆息)
勝ったマヨノエンゼルは父キャプテンスティーヴ・母エムケイミラクルの牡3歳。A級平場−オープン特別と古馬相手に連勝して挑んだ重賞もあっさりと制覇。牝馬限定戦を除けばこの時期に3歳馬が古馬重賞で優勝した事は過去に例が無く、まさに歴史的な勝利となった。

なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「アドマイヤドン賞」となっており、優勝馬馬主には副賞としてアドマイヤドン号の種付け権利が贈られた。
(写真/副賞目録を持つ馬主・倉口吉太郎氏)
今日はいつもより元気というか気合いが乗り気味。ちょっと心配しましたが問題はなかった。位置取りは特に決めてかからず出たなりのつもり、それで意外に前の方につけられたので楽になりました。ペースが遅かったのもあったので早めに動きましたが、逃げている馬がグッドストーンの影になって見えず、どんな手応えか分からなかったのが心配と言えば心配だったかな。でも強い走りでしたね。この小柄な馬のどこにこんな力があるのだろうと思いますが、自分の想像以上に成長しているのかもしれない。今後が楽しみです。(小林俊彦騎手)