前日までとはうってかわって爽やかな青空が拡がった盛岡競馬場。フリーマーケットなども開かれた場内は大にぎわいで、たくさんのファンが見守る中レースを迎えた。
単勝1番人気、それも1.1倍と圧倒的な人気を集めたのはスマートファルコン。次いで4.4倍でマコトスパルビエロ、9.2倍でエスケーカントリー。オッズの動きはスマートファルコンとマコトスパルビエロの一騎討ちムードだ。

4コーナーポケットからのスタート、ゲートを出てすぐマコトスパルビエロが躓きそうになったのか一瞬バランスを崩しかけたが、即座に立て直すとそのままハナを奪いに行く。
1周目のスタンド前はマコトスパルビエロが先頭で通過していく。2番手はというとこれが何とサカラート。スマートファルコンは、その直後とはいえ3番手をすすんでいた。
いつもならちょっとかかり気味なくらいに強引にハナに立っていくのがスマートファルコン。マコトスパルビエロがいるのでスマートファルコン2番手もありうるとはいわれていたが、3番手というのはちょっと意外。
それも、1コーナーに入る頃にはサカラートに完全に前に出られて、スマートファルコンはどことなく行き脚がつかないままに下がってしまったような感じになった。
とはいえスマートファルコンにとっては与し易い相手関係でもあり、ここは将来の事を考えて、いつもと違うレースを試そうとしているのだろう・・・とも考えられた。マコトスパルビエロとの差は2、3馬身、十分射程圏なのだから。
写真/1周目のスタンド前、マコトスパルビエロの2番手にいるのはサカラート、スマートファルコンは3番手
マコトスパルビエロはじわじわとリードを拡げて、向こう正面に入る頃にはサカラートに3馬身ほど、スマートファルコンに5馬身ほどの差をつけた。一見大逃げだが、しかしペースは1000m通過が1分2秒と少しで全く速くなく、むしろ遅いといっても良いくらい。既にこの時点で“アンカツペース”のマジックが流れを完全に支配していた。
極々淡々と向こう正面を通過して3コーナー、後続の馬群が一斉に動き始める。サカラートとスマートファルコンはマコトスパルビエロに並びかけようとし、後方からは馬群を縫ってエスケーカントリーがポジションを上げ、4番手にまで迫ってきている。
前の3頭は3〜4コーナーでほとんど横一線になった。直線にも3頭一線で進入、ここから激しい攻防が始まるのかと思われた。
しかし、道中楽に進んできたマコトスパルビエロにはまだまだ余裕が残っていたのだろう。隣に並ばれても全く慌てず騒がず、前に出られない程度にペースを上げはするもののいわゆる”おいでおいで”の状態。
その余力の差は直線に向いた途端、はっきりと現れた。いざ交わしにかかったサカラートを見てちょっと気合いをつけるとマコトスパルビエロはグイッと前に出る。そこでムチを一発、差はすぐに1馬身に開いた。
この時点でほぼ決着は付いた。サカラートはあっという間に引き離され、スマートファルコンも、そのサカラートを交わすのすら四苦八苦している状態。最後は流してゴールしたマコトスパルビエロ、後ろに4馬身差をつける鮮やかな逃げ切りだった。

2着争いはゴール寸前までもつれた。坂を越えた時点でサカラートとスマートファルコンの差はまだ1馬身。このままサカラートが粘りきってしまいそうな勢いだったが、ゴール寸前、残り50mほどでスマートファルコンがわずかにサカラートを交わした。後方からはエスケーカントリーが猛然と追い上げてきていたが、こちらは及ばず4着。大きく離れて5着に岩手のクインオブクインが食い込んだ。
写真/スマートファルコン・岩田騎手はレース後「+20kgはやはり余裕があったのか、馬が落ち着きすぎていたのが気になっていた」と振り返った
勝ったマコトスパルビエロは父ブライアンズタイム・母マコトシュンレイの牡5歳。07年の新潟・関越Sでドンクール以下を寄せ付けない逃げ切り勝ちを収めてダートの一線級に仲間入り、以降快速を武器に戦ってきたが重賞には手が届かずにいた。待望のタイトルを手にした事で今後の活躍の舞台が大きく拡がる事だろう。
芝向きの馬なのは分かっていたので先生と相談しながらこういう機会があれば使いにいこうと話していました。ダートではついていけなくて、先生は芝馬だと確信していたみたいです。道悪はそれほど気にしなかった。中団くらいにつけられれば最後良い脚を使ってくれるから、その通りに。
コスモバルクが上がっていった時に一緒について行ければいいなと思っていたのですが、あっちの手応えがあまり良くないのでこれは行ききるしかないなと。誰もついてこないから“早く動きすぎたかな”と思ったんですよ。これで差し返されたらイヤだなって。最後も、馬が余裕なのかどうなのかずっとふざけて走っていてゴールまで気が抜けませんでした。7馬身差には僕もびっくりしました。これまで勝てそうで勝てないレースが続いていたので重賞で勝てて嬉しいですね。(町田直希騎手)