天候が崩れそうだという予報があった盛岡競馬場周辺だが、結局レースまでは崩れず保った。コース状態は良、パンパンの良馬場とはいかないが昨日よりも乾いた感じの芝だった。
まず飛び出したのは大方の予想通りマーチボーイだった。この馬らしいロケットスタートを決めたマーチボーイはゲートを出てすぐ1馬身ほどリードを作った。これをアンダージョイナーが追いかけようとするが、最内の1番人気・エイブルインレースも前に出てきている。「隣の馬が速かったので無理はせず(戸崎騎手)」、マーチボーイを先にやっておいて2番手を確保、は自身の想定内の行動だったようだ。

逃げると思われていた馬が逃げて、圧倒的1番人気の馬が2番手につけてしまっては後続は非常に動きづらい。2番人気フレンチマリーはアンダージョイナーを交わして3番手、岩手のマヨノエンゼル、トキワノマツカゼらは中団からやや前目を進んでいるが、いずれペースは落ち着いてスローになった。
写真/1周目の直線、エイブルインレースはすんなり2番手を確保
1コーナーから2コーナー、先行争いのためというよりは自身のいい位置を取るために縦長になっていた馬群は、流れが遅いがゆえに2コーナーを過ぎたあたりから急速に固まり始める。向こう正面半ばあたりでは先行〜中団グループのほとんどがひとかたまりに、半ばを過ぎる頃には後方の離れた位置にいたセンリグランピーまでがこのグループに取りついてきたほど。
そんな流れの中、エイブルインレースは前後の間隔をしっかり保ちながらあくまでも2番手を、あくまでもレースの流れを掴み続けている。
3コーナー、ペースアップを図るマーチボーイを、“ペースを創るのは自分だ”といわんばかりにエイブルインレースが追い上げ、交わす。これを見た後続の動きも一気に激しくなり、内外から追撃を開始するのだが、エイブルインレースの手応えはまだまだ余裕、鞍上は未だムチを抜いてすらいない。
堂々先頭に立ったエイブルインレースを追うのは外フレンチマリー、そしてセンリグランピー。内からはエンジンソウルが食らい付いてきている。トキワノマツカゼとマヨノエンゼルはその後ろで並んで追い上げているが、勢いはちょっと不利に見える。
坂の手前、渾身の力を振り絞ってフレンチマリーが並びかけようとする。一瞬ほとんど馬体が並んだかにも見えたのだが、しかしエイブルインレースはギリギリの所で交わさせない。そもそも戸崎騎手はまだムチを使っていない。ハミをかけながら追っているだけなのだ。
内外から迫られかけたところでようやく戸崎騎手がムチを入れた。肩へトモへ、2発、3発と打ち込むとエイブルインレースも即座に反応、グンと伸びて後続を突き放す。
これで勝負は決した。後続との差は、ごく簡単に1馬身半ほどに開いていた。後はもうゴールを駆け抜けるだけ。余裕綽々のままエイブルインレースが盛岡芝重賞2勝目を手に入れた。
3頭一団でなだれ込んだ2着争いはフレンチマリーが半馬身ほどリード。3着争いは外センリグランピーがわずかに先着し、またしても人気薄で上位に食い込んで見せた。
岩手の2冠馬マヨノエンゼルは5着、トキワノマツカゼはハナ差の6着に終わった。

勝ったエイブルインレースは父フジキセキ・母フサイチエイブルの牝3歳。昨秋のジュニアGPをホッカイドウ競馬所属として制した同馬はその後1戦を経て南関東へ移籍、そこでもJRA挑戦を続けていた。
地方所属ながらこれで6戦連続芝だけに出走しているエイブルインレースは、この勝利を手みやげに紫苑ステークスへ、そして秋華賞出走を目指す模様。
スタートは速かったし道中のスピードもしっかり。後ろの馬の出方次第ではもっとペースを上げても良いと思うくらい余裕もあった。短いところなら安心して戦えますね。(阿部英俊騎手)