3歳ダート三冠の一冠目となる阿久利黒賞。単勝1番人気はマヨノエンゼルで1.4倍、2番人気はトキワノマツカゼで2.9倍。少し離れてダンストンジールが7.8倍で3番人気。やはり人気上位は“3強”が占める事になった。少し前に行われたJRA皐月賞では断然の1番人気馬が消える結末となったがこちらは果たして・・・?というところ。
まず飛び出していったのはマーチボーイ。ゲートのでもダッシュも速く、スタート後の4コーナーにかかる頃にははや後続を1〜1馬身半引き離す。これについていったのがリュウノシンゲンでこれが2番手。ダンストンジールとセンリグランピーも早めに押し上げており、それぞれ3番手・4番手につけている。
前回は逃げたトキワノマツカゼは、今回は大外枠という事もあってスタート後は無理をせず、最初のスタンド前の直線を使って上昇する作戦。最初の4コーナーでは最後方、そこから1コーナーでは、ダンストンジールの直後の5番手にまで上がっていた。
1番人気マヨノエンゼルはというと、こちらスタート良く飛び出したものの、いったん中団の、控え気味の位置につけた。これは「外に出しやすい位置さえ取れればいいと思った(山本政聡騎手)」という判断からのもので、先行争いに加わる馬をやり過ごしつつ、そのうちにちょうど先行グループと後方グループの間の、切れ目のような所に抜け出してきた。外には誰もおらず、前にいるのはトキワノマツカゼ。序盤〜中盤の位置としては願ってもないポジションがマヨノエンゼルの手に入った格好だ。
ペースはやや遅めながらもそれほど緩みすぎる事がない、よどみのない流れ。いかにもマーチボーイらしい展開だったが、3コーナー手前、トキワノマツカゼの仕掛けに応じて他の2強も動き出して、レースが急激に動き始めた。
3コーナー、ダンストンジールがマーチボーイを交わして先頭に出る。トキワノマツカゼが連れて上昇、マヨノエンゼルは一瞬置かれかかるがすぐに差を詰め直す。マーチボーイはこの後ズルズル後退していき、直線に向いた時には内からダンストンジール、トキワノマツカゼ、そしてマヨノエンゼル、この3頭が後続を大きく離して一団。直線の攻防は、やはり“3強”の戦いとなった。
直線に入ってもしばらくは3頭一線の競り合いが続いた。さすがは“3強”、お互い簡単には譲らない。だがしかし、残り100mあたりで真ん中トキワノマツカゼがじわりと前に出た。外から懸命に馬体を併せに行くマヨノエンゼル。ダンストンジールはここで劣勢となって2頭との差が拡がっていく。
残るは2頭。しかしトキワノマツカゼ・マヨノエンゼルの戦いは、これまた簡単に決着が付くものではなかった。わずかに優勢なのはトキワノマツカゼか。だがマヨノエンゼルもジリジリと、しかしはっきりと交わそうとしている。
ゴール寸前、本当にあと数メートルというところで2頭の鼻面が揃った。ゴールの瞬間、両馬の鞍上が互いに顔を見合わす。わずかに前に出ていたのは、外マヨノエンゼルだった。
1着マヨノエンゼル、2着トキワノマツカゼで着差はアタマ。ダンストンジールはこの攻防から3馬身離されたが3着は楽に確保。1〜3番人気がそのままという結果に、最も好配当だった馬番3連単ですら350円、複勝は3頭とも100円元返しという非常に堅い決着となった。

勝ったマヨノエンゼルは父キャプテンスティーヴ・母エムケイミラクルの牡3歳。3月以降3連勝で重賞制覇を成し遂げ、岩手の3歳ダート三冠の最初の一冠を手に入れた。手綱を取った山本政聡騎手はこれが重賞初制覇となる。
マヨノエンゼルは青森・佐々木牧場の生産馬で、青森産馬としてはマツリダパレス以来の重賞制覇。
また、このレースは日高軽種馬農業協同組合協賛・スタリオンシリーズの「アドマイヤボス賞」となっており、優勝馬馬主には複勝としてアドマイヤボス号の配合権利が贈られた。
ハンデは1kgだったからそれほど気にならなかったし、ペースも手頃だったのであまり苦労せずいい位置が獲れましたしね。最後は刺さってしまったけど、自分が乗るといつもこうなので、それも想像の内。全体に余裕を持ってレースができました。(小林俊彦騎手)