午前中は暖かいくらいだった水沢競馬場だが、メインレースの前、突如“通り雪”が降って急に寒くなった。コース状態は不良、前日同様、コースの各所に水が浮いた状況だ。
混戦模様という前評判どおり単勝人気は割れた。1番人気はソーユアフロストで2.8倍。2番人気カネショウエリート3.4倍。3番人気リュウノツバサ4.1倍。ここまでが僅差の接戦で、以下ヤマニンエグザルト、ジュリアと続く。
しかし他の賭式は3番・7番・8番の3頭にほぼ集中。他では2番絡みがまずまず売れているが前記3頭ほどではなく、混戦と言われすぎて逆に3頭 −それもにトップジョッキー3名が騎乗する馬に− 集中してしまったのかもしれない。
2コーナー過ぎからのスタート。11頭一線かと思いきや、ブラーボウッズと、そしてリュウノツバサがダッシュつかず一瞬取り残されている。
逃げたのは下馬評どおりジュリア。8枠からでも敢然と飛び出して一気にハナを奪ってしまう。カネショウエリート、ダンディキングがこれを追い、さらにはクルセイズやソーユアフロストも前の方に行っている。リュウノツバサも立て直してソーユアフロストの直後まで接近。
ポジション争いが収まり、一周目の直線に入った時の体勢は、ジュリア、カネショウエリート、ダンディキングの先行3頭、ソーユアフロストやリュウノツバサ、クルセイズ、ヤマニンエグザルトがいる中団グループ4頭がまず前後に分かれ、その後方にピンクゴールドやボスアミーゴら後方待機組がバラバラと追走する形。
ペースは遅くもなく速くもなくの平均ペース。淀みないスピードで進む中、人気上位馬は先行あるいは中団の、いわゆるレースがしやすい位置に集まっており、この時点では波乱の気配はあまり感じられなかった。
1周走って2周目に入った向こう正面、ここから波乱の気配が強く、そして急速に現れはじめた。
まずソーユアフロスト。そこまで中団グループにいた同馬だったが、向こう正面半ばあたりに来て急に手応えが悪くなってきた。3コーナー手前あたりではもう、手綱を激しく動かしながらも後退していく状態。間もなくソーユアフロストは後方待機組に飲み込まれてしまう。
そしてリュウノツバサ。ソーユアフロストの手応えを見て早めに動き出し、一時は4番手まで上がったのだが、しかしこちらも既に余裕がない。ムチを入れ、気合いをつけてようやく現状維持程度、そこから順位を上げるどころかむしろ徐々に置かれつつある。
一方の先行集団では、カネショウエリートが勝負を賭けようとしていた。「後から来られるのを待っていていい馬ではない。早めに先頭に立ってリードを作ってこそ。手応えやこのコース状態なら、そうやって自分の競馬を押し通しても大丈夫だろうと(村上騎手)」。
ダンディキングが下がっていった事、中団〜後方の馬はまだ来ていないことは確認済み。最後の直線を待たず、カネショウエリートは意を決して先頭に躍り出た。
直線、先頭カネショウエリートの後ろで、馬群がわっと拡がった。懸命に食い下がる先行勢、追い上げる中団・後方待機組。内から外から前後入り乱れ、一時は7頭ほどが横一線。
その中では、外を一直線に伸びてきたピンクゴールドの脚色がいい。同時に内でも、ヤマニンエグザルトが馬群を割ってグイグイ伸び始めている。数頭の固まりの中からこの2頭が抜け出した。そしてカネショウエリートを追い上げようとする・・・。

しかしその頃には、勝負はほぼ決していた。先頭をひた走るカネショウエリートはすでに後続の馬群を3、4馬身置き去りにし、なおスピードを緩めず突き進んでいる。
後方で繰り広げられる2番手争いがヤマニンエグザルト優勢で決着がついた頃、カネショウエリートはもう、悠々とゴールを駆け抜けるところだった。着差は2馬身半、直線に入ってからは全く危なげのない完勝だった。
2着ヤマニンエグザルト、3着には9番人気ピンクゴールド。1番人気ソーユアフロストは10着に、3番人気リュウノツバサは8着に沈み、馬番3連単は9万4,160円の大波乱。これは一昨年の3連単7万8,940円を上回り、桐花賞史上の最高配当となった。
勝ったカネショウエリートは父メイセイオペラ・母シルバークリエートの牡4歳。ここまでは、ダートもこなすが良績は主に芝で、きんもくせい賞ではボスアミーゴを破って重賞制覇を果たしていた。ダート重賞はこれが初勝利となる。
また、父メイセイオペラも97年・第23回桐花賞を勝っており、カネショウエリートは史上2頭目の父・仔二代桐花賞制覇を成し遂げた。

なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「ファルブラヴ賞」となっており、優勝馬馬主には副賞としてファルブラヴ号の配合権利が贈られた。
(写真は馬主代理として目録を持つ畠山信一調教師)
ここ2戦、相手が強かったのか自分のレースができずにいましたが、今日は比較的楽にマイペースに持ち込め、自分のレースができました。コース状態もあるが、ペースがよかったのが一番の勝因でしょう。(小林俊彦騎手)