昼過ぎまでは晴れ間も見えた水沢競馬場の天候だったが、メインレースの頃は空一面が雲に覆われた。
コース状態は重、表面は乾いて見えるが下に湿った層があって、いわゆる“脚抜きがいい”状態。
10頭のスタートはまずまず揃ってほぼ横一線。ここからサイレントエクセルとカネショウエリートが並んで出てきて、最初の1コーナーではサイレントエクセルがハナに立っていた。カネショウエリートとと2頭競り合うような形になったが、これは互いに想定の範囲内。むしろ惑わされたのは外からコスモアンファングがついてきた事で、特にカネショウエリートは後ろから突かれるような形になって徐々に折り合いを欠いていく。
だがそれはもう少し後の話。この時点ではサイレントエクセルからカネショウエリート、コスモアンファング、そしてヤマニンエグザルト、ソーユアフロストと連なって淡々と進む。ペースはハロン13秒台、14秒台と落ち、戦前の予想どおりの“北上川大賞典ペース”。その割に馬群が縦長になっていたが、これは後方待機組が無理に前に詰めていかず、折り合いに専念していたためだ。

2周目に入ってスタンド前、依然前3頭の並びは変わらないものの、後方では徐々に動きが出てきていた。直線入り口ではソーユアフロストまでの5頭とその後ろの5頭とが大きく離れていたが、この直線、あいかわらず14秒台半ばのラップで進む間に後方グループがぐっと間隔を詰めてくる。ソーユアフロストやヤマニンエグザルトの直後にボスアミーゴやラプレが取りついてきて、これで馬群はほぼひと固まりになった。
2度目の向こう正面に入っていよいよ各馬の動きが激しくなっていく。先頭ではサイレントエクセルがペースアップ。ハロンラップで1秒くらい速くなった。後方からは外を通ってラプレが、そしてそれを追ってジュークジョイントの北海道勢2騎がポジションを上げてくる。3コーナー、ラプレは一気に3番手から2番手をも窺う勢い。ジュークジョイントもそれに続いて押し上げる。
先頭サイレントエクセルは更なるペースアップでこれに応える。カネショウエリートはラプレの急追に対応しようとするが、そこまで折り合いを欠いていたせいか反応も、ペースアップ後のスピードも後続に見劣る。またソーユアフロストは「後ろからラプレが来たのは分かったが、そこで合わせてペースを上げようとしてもすぐに反応せず(小林騎手)」、ジュークジョイントにも捲られて5番手に下がる。
4コーナー、まだ先頭はサイレントエクセル。2番手の争いはどうやらラプレ優勢で進んでいるか・・・。そう思った時、外からさらに凄い勢いで捲ってきた馬がいた。赤い帽子、ジュークジョイントだ。
勢いがあまりに良かったせいかコーナーで膨れ、コースの真ん中あたりまで飛んでいってしまったジュークジョイントだったが、その脚勢をもってすればそんな事は全く問題にならなかった。
「脚音が聞こえたと思ったら、並ぶ間もなく抜かれていた(板垣騎手)」。ジュークジョイントがコーナーで膨らんだ分を立て直し、進路を定めるまでの間こそ2頭の脚色が拮抗していた様に見えたが、しかし勢いは、完全にジュークジョイントが勝っていた。
コースの真ん中を突き進むジュークジョイント。一完歩毎にサイレントエクセルを突き放していく脚勢は、もはや圧倒的だった。ゴール直前、ムチを入れるのをやめた岩橋騎手が後ろをちらっと見た。サイレントエクセルは1馬身後方、その後ろ、ラプレとソーユアフロストはさらに3、4馬身後方。ジュークジョイント完勝のゴールインとなった。

2着はサイレントエクセルが粘りきり、3着争いは最後の一伸びでソーユアフロストが先着。以下ラプレ、カネショウエリートと続いた。
結果的に1〜5番人気の馬が掲示板を占めたが、勝ったジュークジョイントは5番人気、2着サイレントエクセルは4番人気。1番人気ソーユアフロストは3着で、馬番3連単は万馬券となった。
勝ったジュークジョイントは父エルコンドルパサー・母シングライクトークの牡7歳で社台ファームの生産馬。JRA時代は社台レースホースの募集馬として走り、最終的には1600万下まで上がったがそこで頭打ちとなってホッカイドウ競馬に移籍。途中2度の長期休養があって7歳ながらこれが19戦目というキャリアだった。
北上川大賞典の他地区馬の優勝は一昨年のコアレスハンターに続き2度目。ただしその時は岩手の騎手が騎乗しており、他地区所属の騎手が優勝したのはレース史上初めて。
また、鞍上の岩橋騎手は05年のひまわり賞・ビューチフル・ドリーマーCに続く岩手での重賞3勝目。成田春夫調教師は04年白菊賞(カントリーウーマン)、南部駒賞(スマートシェーブ)、05年ひまわり賞・ビューチフル・ドリーマーC(ドリームチャッター)に続く岩手重賞5勝目。
次戦だが、ホッカイドウ競馬がすでにシーズンオフに入っているため、この後は放牧に出、来年の地元で再始動するとの事。

なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「ゴールドアリュール賞」となっており、優勝馬馬主には副賞としてゴールドアリュール号の配合権利が贈られた。
(写真は馬主代理として目録を持つ成田春夫調教師)
道中はケイジーウォリアの後ろについて行って、最後は先に抜け出しているはずのあちらを差そう、という狙いでいたのですが、あちらの動きが悪いので“これは先に動いた方がいい”と思って仕掛けていきました。直線は、追うと頭を上げる馬だと聞いていたので、いきなりガンと追わないでなるべくそっと追い出すよう心がけました。でも今日は最後まで首遣いも良く、スムーズに伸びてくれました。思った通りに乗れて勝って、気持ちいいレースでした。(高松 亮騎手)