朝方少し雨が降った水沢競馬場だったが、その後は降る事が無く、曇り空ではあるが良馬場でレースが行われた。
4コーナーポケットからのスタートは、少し躓きかけたような馬が何頭かいて綺麗ではなかったが、ひとまず各馬大きな出遅れなくゲートを飛び出した。
さっそく繰り広げられた先行争いは枠順でいうと真ん中あたりの馬が主役となり、まずテンショウスズランとトウホクビジンの5枠2頭が行くところをセンリグランピーやフジフーフーが追い、さらにアラベスクシーズ、カミノフジ、ダンストンジールらがそれを追う格好となった。
1番人気のワタリシンセイキは最内枠を引いていたものの無理はせず、いつもどおりいったん最後方に下げていた。最初のスタンド前は馬群の最後方で通過。ここで同じく後方にいたマヨノエンゼルと内外入れ替わり、徐々に外目に持ち出していく。この辺の動きもいつも通りだ。
+13kgという馬体増が心配された同馬だったが、「乗ってみて重そうな気配は感じなかった(関本淳騎手)」との事で、それもあって鞍上はいつも通りの作戦を躊躇無く採ったようだ。
2番人気のアラベスクシーズは結局4番手を占めた。直後をダンストンジールやカミノフジがマークするように続く。もう一頭の遠征馬・モエレオフィシャルは9番手の外目。こちらは何度か内に入れようとしたもののかなわず、「内に入りたいと思いながら入る場所が無く、結局外・外を進むしかなかった(小嶋騎手)」と苦渋のコース選択になっていた。
向こう正面に入って前の2頭の競り合いが激しくなり、徐々に3番手以下を引き離し始める。一方、後方でも各馬が動き始めていた。まず動き出したのはモエレオフィシャル。2コーナーを回りきって直線に向いたところからポジションを上げ始める。これを見たワタリシンセイキも上昇、2頭並んで中団に接近してくる。
これを受けてダンストンジールが反応、するとアラベスクシーズが、と後方からの動きは玉突きのように前へ伝わっていった。気がつけばテンショウスズラン・トウホクビジンの2頭が作っていた3、4馬身ほどのリードはあっという間になくなっており、後ろからひとかたまりになって上がってきた有力馬勢が2頭を交わして先頭を奪おうか、という所まで迫ってきていた。
しかしレース終盤に来ての急なペースアップ、これに対応できる馬はそうは残ってはおらず、一度ひとかたまりになった馬群は次の瞬間大きく二つに分裂した。先行粘るトウホクビジン、外を捲るワタリシンセイキと並んで上がってきたダンストンジール。この3頭の中に挟まって、何とか食い付いているかのようなアラベスクシーズ。そして少し離れてモエレオフィシャル。勝負はこの5頭に絞られたか、に見えた。
直線に向いた時はモエレオフィシャル以外の4頭が横一線。だが手応えではワタリシンセイキが抜けて良い。苦しそうに見える他に対しワタリシンセイキはまだ楽な手応えのままだ。
しばらく間をおいて他の脚色を確認した関本淳騎手、改めてゴーサインを送ると馬も即座に反応、ダンストンジール以下を引き離し始めた。
ダンストンジールも、その内にいるアラベスクシーズも、もう既に一杯一杯。この2頭はすでに敵ではない。モエレオフィシャルも直線で伸びを欠いている。
だが、まだ勝負はついていなかった。大外から風のように伸びてくる馬が一頭。オレンジの帽子、マヨノエンゼルだ。

鞍上のアクションに応えて、飛ぶように突き進んでくるマヨノエンゼル。3コーナーあたりからまくり始め、直線は他をまさにごぼう抜き!
ワタリシンセイキ&関本淳騎手もこれに気付いており、ダンストンジール以下を振り切った後も追うのを緩めていない。だがマヨノエンゼルの伸びはあまりにも圧倒的で、差は見る間に縮まる。
最後はほとんど鼻面が揃ったかに見えた。結果は写真判定に持ち込まれたものの、しかしそれほど時間をおくことなく1着1番・2着10番と表示。アタマ差ながらワタリシンセイキがきっちり凌ぎ切った。
アラベスクシーズはこの争いから3馬身差の3着。以下ダンストンジール、カミノフジ、モエレオフィシャルと続いてここまでがほぼ一団。1番人気から5番人気までの馬がみな6着までに入ってきていたが、例外が2着、9番人気のマヨノエンゼルで、馬番3連単は2万3070円の波乱となった。

勝ったワタリシンセイキは父ビワシンセイキ・母シャトーサウザンドの牡2歳。遠征馬を相手に岩手伝統のタイトルを守り、自身もダートでは5戦5勝、内重賞2勝と、岩手2歳最強の力を改めて見せつけた。
注目の次走だが、遠征には向かわず、金杯を目標に地元戦を走る公算が強い。
なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「デュランダル賞」となっており、優勝馬馬主には副賞としてデュランダル号の配合権利が贈られた。
(写真は馬主代理として目録を持つ三野宮通調教師)
前走は相手が楽だったし、ここは強いのが増えたから楽観はしていなかったです。枠も良かったし展開も良かった。小柄な牝馬なので厳しいかとも思ったけどよく頑張ってくれましたよ。良く走ってくれた。嬉しい勝利ですね。(阿部英俊騎手)