午前中から昼頃にかけて降った雨も午後にはあがり、レースの頃には雲の切れ目に青空も見えるくらいになった。
単勝1番人気は前売りの段階からしばしば入れ替わっていたが、最終的には愛知のノゾミカイザーが2.5倍で1番人気。リュウノツバサが2.9倍で2番人気、以下ゴールデンクリーク、モエレハナオーと続く。単勝10倍以下はこの4頭に留まった。
各馬一線のスタート、まずは大方の予想通りエイプリルボーイがハナを奪いに行くが、外からモエレハナオー、内ゴールデンクリークも前へ。さらには8枠の2頭も前に出てきていきなり人気上位馬が前に固まる形。
ペースは前半3ハロンが37秒台半ばとやや遅め。その後ペースはさらに落ち、中間の1000mを1分4秒ほどで通過するスローペース。逃げるエイプリルボーイとしてはこの距離を乗りきるためにはできる限り抑えていきたいところ。追走する有力馬達にしても、有力馬同士でほぼ固まってしまったとなれば無理に動く必要もなくなり、それぞれポジションを守りつつ流れに身を任せる姿勢をとった。
最初のスタンド前はエイプリルボーイを先頭にゴールデンクリーク、モエレハナオー、そしてリュウノアシェイブを挟んでリュウノツバサ。少し開いてノゾミカイザーという順で通過していく。ピンクゴールドはこの時点で後方集団の前の方、7番手につけていた。
ごくごく淡々と進んでいた馬群の中で、まずノゾミカイザーが攻防の口火を切った。向こう正面に入って間もなく、先行グループの後に控えていたノゾミカイザーがじりじりと上昇し始める。じわっと外からモエレハナオーに迫ったノゾミカイザーは、一瞬間を取ったあと、外からすーっと捲りに出た。
ちょうどこの時、先頭にいたエイプリルボーイが失速。押し出されるように先頭に出たゴールデンクリークが、そのままなし崩しに後続の追撃を受け止める形になった。このグループにはリュウノツバサも取りついており、ちょうど1番人気から4番人気までの4頭がひとかたまりに。

4コーナーで大外から進んでいったリュウノツバサは、ここまで我慢に我慢を重ね、細心の注意を払ってこのポジションにつけていた。
「ノゾミカイザーの脚を意識して、向こうが動くまで辛抱した。あっちが先に動いてくれたのを見てこちらも仕掛け始めて、“これでダメなら仕方ない”というタイミングで行けたと思った(沢田騎手)」。だが、沢田騎手の耳にはすでに、外から追い上げてくるピンクゴールドの足音が聞こえていた。
4角で一線だった4頭のうち、まずモエレハナオーが遅れ始め、間もなくゴールデンクリークも一杯になった。残るはノゾミカイザーとリュウノツバサ。だがこの2頭の戦いは、これはリュウノツバサの方が上回っている。間もなくリュウノツバサがノゾミカイザーを競り落として先頭に出る。しかしその時にはもう、ピンクゴールドが直後に迫る。
激しくムチを入れながら坂をよじ登る2頭。坂を越えたところでリュウノツバサが1馬身、いや2馬身突き放す。だが残り100m、リュウノツバサの頭が上がった。がくんと脚が止まったリュウノツバサをめがけてピンクゴールドが襲いかかる。馬体が合わさるまでは一瞬。並んで交わすのも一瞬の出来事。しかしピンクゴールド鞍上の小林俊彦騎手は、ピンクゴールドが前に出た所で勝利を確信、大きなガッツポーズと共にゴールを駆け抜けた。

2着はリュウノツバサ、ノゾミカイザーは2着から4馬身離れた3着。以下モエレハナオー、コンバットキックと続き、ゴールデンクリークは6着に終わった。
勝ったピンクゴールドは父サクラローレル・母ニッポージュリアンの牝3歳。2歳の早い時期から重特戦線で活躍し特別も2勝したが、重賞ではわずかに阻まれてなかなか勝てずにいた。3歳最後の一冠を劇的な勝利で手にし、ライバルたちにまとめて借りを返した形になった。
なおこのレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「フジキセキ賞」となっており、優勝馬馬主には副賞としてフジキセキ号の配合権利が贈られた。
(写真は副賞目録を手にする馬主・小野寺哲雄様(右)と管理調教師・小林義明師(左))
新馬勝ち以来どうもちぐはぐなレースが続いてしまった。まだ幼くて、レースでも走る気がないというか遊び遊び。もうちょっと集中して走ってくれればいいんだけどね。こういう風に能力はある馬なのだから。でも、そういうところが成長して変わってきてくれればと思うと楽しみ。芝専用ではないとも思っているし、今後に期待したいね。(村上 忍騎手)