水沢競馬場ダート1400mのグレードレース・第13回クラスターカップは8番人気の船橋・プライドキムが快勝。鞍上の川島正太郎騎手はデビュー3ヶ月でグレードレース制覇を成し遂げた。
当初12頭の出走予定馬から岩手・トーホウライデンが取り消して11頭立てで争われたクラスターC。人気はJRA勢4頭に集中、1番人気は1.8倍でフェラーリピサ、2番人気は3.8倍でトーセンブライト、以下メイショウバトラー4.5倍、タイセイアトム4.8倍。
5番人気の船橋・コアレスデジタルが46.5倍というオッズなのをみれば“JRA勢以外は何もいらない”と言わんばかりの集中ぶりだ。

スタンド前右手からのスタートはおおむね横一線。そこからまずディープサマーが、そして外からタイセイアトムが一気にハナを奪いに出る。ダイワメンフィスは先行争いの中で行ききれず、最内メイショウバトラーは、ハナに立てないまま1コーナーを迎えて控えざるを得なくなった。フェラーリピサは先行争いには参加せず中団を確保。これで先頭タイセイアトム、2番手ディープサマー、以下外にプライドキム、内にメイショウバトラー、これを追ってトーセンブライトという形で先行集団のポジションが決まった。
逃げるタイセイアトムのペースは最初の3ハロン36秒台前半というあたり、そう無茶に速いという感じではない。追走する馬群はいくぶん縦長になってはいるが、各馬とも普通に折り合いながら進んでいる。向こう正面に入った頃には先行グループに有力馬が密集、メイショウバトラー・トーセンブライト・フェラーリピサの上位人気3頭が横に並ぶシーンも見られた。
3コーナー、依然としてハロン12秒台前半をキープしながら逃げ続けるタイセイアトムだったが、いよいよ加速して後続を突き放そうという時、外からプライドキムが抜群の手応えで並んできた事で目算が狂った。
やや速めの息の入らない流れをつくって、後続に脚を使わせつつ自身はセーフティリードを作る、というのがこの馬の戦法。ここで突き放してしまいたかったのだが、プライドキムが持ったままの手応えで並んでき、さらにそれを追ってフェラーリピサが動いてきたためにタイセイアトムにとっては苦しい展開になってしまった。
直線の攻防の主役はもう、明らかにプライドキムだった。タイセイアトムを難なく交わし、勇躍先頭に躍り出たプライドキム。脚色は全く衰えず、高々と砂を蹴立てて驀進している。
これに外から並びかけようとするフェラーリピサ。4コーナーから直線に入るあたりの勢いはプライドキムよりもよく見えた。フェラーリピサ鞍上の岩田騎手も「この手応えなら勝てると思った」とレース後に振り返ったほどだ。しかし、1馬身ほどの差が半馬身かそれ以下にグッと縮まったのもつかのま。並ばれかけたプライドキムが再び突き放し、そしてリードを拡げ始める。
直線半ばあたりで勝負は決した。1馬身ほどのリードを作ったプライドキムは最後までスピードを鈍らせることなくゴールイン。若き鞍上は大きなガッツポーズで自らの勝利を飾ってみせた。
1番人気フェラーリピサはついに差を詰める事ができず2着でゴールイン。4馬身離れてトーセンブライトが3着。以下タイセイアトム、コアレスデジタルと続いた。

勝ったプライドキムは父アフリート・母ステファーナの牡6歳。JRA時は2歳時から活躍、04年兵庫ジュニアGPG3、全日本2歳優駿G1を連勝してダート2歳の頂点に立った。しかしその後1年半にわたって勝ち星を手にする事ができず、07年初頭より船橋に移籍していた。これが全日本2歳優駿以来となるグレードタイトル。
また、鞍上の川島正太郎騎手は今年5月にデビューしたばかりの新人ジョッキーで、自身初の南関以外での騎乗、初の重賞騎乗でいきなり結果を出して見せた。同騎手は平成2年10月生まれの17歳。地方競馬初の平成生まれのグレードウイナーであり、交流重賞史上最年少での優勝ともなった。なおプライドキムを管理する川島正行調教師は父。
クラスターカップの歴史では、2000年・第5回優勝のゴールデンチェリー(愛知)以来となる地方馬による制覇。
最近は夏負け気味でそれほど調子はよくなかった。いくらか良くなって来た感じだけど、調子の良かった盛岡戦でも全然走らなかったくらいだし、正直どこまでやれるかな?という気持ちだった。それが最後まで粘るんだからね。元々力はある馬で真面目に走ってくれればこれくらい戦える馬なんだけど、それにしても良く走ったね。(菅原 勲騎手)