地元8頭・遠征馬3頭の計11頭の出走馬の中で1番人気に支持されたのは岩手のボスアミーゴ。ここまでの実績を見れば当然という評価で単勝オッズ1.2倍の断然人気に推されていた。
2番人気は愛知のマヤノグレイシーで8.3倍。こちらはJRA所属時代の芝実績の高さが評価されたようだ。単勝10倍以下はこの2頭のみ、オッズ上は一騎打ちの様相だったが、実際のレースもその通りになった。
枠入り後にちょっと落ち着かなかったサクラエキスプレスが、ゲートが開いた途端一気に飛び出していった。ゴールデンミションやマヤノオスカー、クルセイズらが追っていくが、サクラエキスプレスは後続を1馬身ほど引き離して走り続ける。その後3コーナーにかかるあたりから徐々にペースが落ちたものの、この先行ダッシュが影響したか、2400m戦としては珍しく比較的速いペースで進んでいく事になった。
先行グループはサクラエキスプレスを先頭にゴールデンミション、クルセイズ、マイネルアンセム、コスモアンファングら。中団のやや後ろ目にダンストンリアルやマヤノグレイシーがおり、後方にサイレントグリーンがいるのは予定通り。しかし、なんと1番人気のボスアミーゴは最後方から進んでいて、これが分かると場内はさすがにどよめいた。
出遅れたわけではなく抑えてのこの位置取り。最近はそれほど前の方に行かなくなったとはいえ、しかしサイレントグリーンよりも後ろの最後方とはさすがに思いも寄らなかった。ここから果たしてどう動くのか?
逃げるサクラエキスプレスの足取りは、2周目の向こう正面に入ったあたりから徐々に怪しくなっていた。これを見てゴールデンミションやクルセイズが差を詰めていく。中団以下はひしめき合いつつポジションの奪い合い、マヤノグレイシーはやや外目から前を窺い、ボスアミーゴは徐々に進出して中団グループの外に取りついてきた。
前を行く3頭ほどが同じような隊列で進んでいた一方で、中団以下のグループはすでにかなり活発に動き始めていたのだ。

2着マヤノグレイシーの宇都騎手は「もっとスムーズに進めていれば・・・」と悔しがった。
3コーナーを過ぎてサクラエキスプレスの脚色ががっくり鈍る。最後の抵抗で後続を引き離したサクラエキスプレスだったが、もはやそれ以上の余力無く、直線に入る頃には完全に後続に捉えられた。
ここで前を捉まえに行ったのはマイネルアンセム。しかしその直後にはクルセイズ、外にはボスアミーゴも迫っており、さらのその後ろにはマヤノグレイシーやダンストンリアル、コスモアンファングも接近。気がつけば全馬がほぼ一団になりつつ直線の攻防へ。
マイネルアンセムが一瞬先頭に出るが、すぐにボスアミーゴが先頭を奪った。内からはクルセイズ、その後を追ってコスモアンファングが鋭く伸びてくる。マヤノグレイシーは外に持ち出してボスアミーゴの3馬身ほど後ろ。
早くも先頭に立ったボスアミーゴだったが、ここまで早めに動いてきたのが影響したか、伸び脚にいつもの切れがない。切れが無いどころか、坂のあたりでは内のクルセイズの方が前に出ていて、ボスアミーゴはそれをなかなか捉えられずにもがいているではないか。そうこうしているうちに外からマヤノグレイシーが猛然と接近。その脚色は外からまとめて差し切ってしまいそうな勢いだ。
だが、これが貫禄というべきか。ボスアミーゴは最後の一伸びでクルセイズを捉えると、マヤノグレイシーの追撃も凌ぎきってゴールイン。わずかにアタマ差、薄氷を踏むような勝利ではあったが、ボスアミーゴが1番人気に応えて重賞制覇を果たした。

勝ったボスアミーゴは父アドマイヤボス・母サクラユキクインの牡4歳。シーズン当初のダートでは苦戦したが芝に替わって完全に勢いを取り戻し、これでここまでの古馬オープンの芝レースを3戦全勝として前半の芝シーズンを締めくくった。
なおこのレースは「日高軽種馬農業協同組合協賛・スタリオンシリーズ」の「アドマイヤボス賞」となっており、優勝馬の馬主には副賞としてアドマイヤボス号の種付け権利が贈られた。
もう少し前でレースをしようかと考えたが、思った以上にペースが早くなったので好位からの形。でもそれで全く心配はなかった。直線でもマイネルティーダの後ろにいれば必ず抜けていけると思ったからね。なかなか勝ちきれないレースをする馬だったのにここに来て3連勝しているのは、それだけ状態がいいのと成長分があるのでしょう。これならもっと強いメンバーとも戦っていけるのではと思います。(村上 忍騎手)