川崎からスパロービートを迎えて11頭で争われた今年の岩鷲賞。1番人気はマンジュデンコウベだったが僅差の2番人気にスパロービートがつけ、昨年の覇者・ヤマニンエグザルトが3番人気。早池峰賞で2着と好走したメタモルキングが4番人気となっていた。
戦前の予想では、逃げるのはスパロービートかエイシンボーダンのどちらかと見られていたが、ゲートが開いて加速を付けていったのはやはりこの2頭。最初前に出かかったのはエイシンボーダンの方だったが、スパロービートも程なく加速を付けて先手を奪いに行く。
この2頭の争いにもう一頭、リキアイヤマノオーが加わってきて様子が変わった。前走の早池峰賞ではそれまでと一変した先行力を見せていたリキアイヤマノオー、オープンのここでも果敢な先行策に打って出てスパロービートと互角のハナ争い。この結果、スパロービートとリキアイヤマノオーはハロン11秒台のハイラップを踏み始め、レースの流れは一気に加速。
しかしそんな速い流れを引っ張りながらも、やや強引な感じに突っ走るリキアイヤマノオーに比べ、スパロービートの方は比較的余力がありそうな走り。3〜4コーナー、やはりリキアイヤマノオーが先にスピードを失った。スパロービートは単独先頭に立って直線へ。この時点ではスパロービート圧勝かとも思われた。
一方後続では、エイシンボーダンはやはり3〜4コーナーで失速気味、マンジュデンコウベは中団の5番手あたりから直線勝負に持ち込もうという格好で、ヤマニンエグザルトは、スタート後のほとんど最後方という位置からムチを入れつつ押し上げてきている。そしてそんな馬達の中で、トーホウライデンは実にスムーズに流れに乗って先行2頭に迫りつつあり、直線入り口では2頭の直後にまで取りついていた。
直線、スパロービートのリードは約2馬身、未だスピードはそれほど衰えていない。やはりこのまま逃げ切りか・・・。だがその時、外からトーホウライデンが弾けるような脚で襲いかかってきた。あっという間にスパロービートを捉えて交わしてしまうトーホウライデン。そしてヤマニンエグザルトも、トーホウライデンとスパロービートの間に身体をねじ込むようにして突っ込んでくる!
ちょうど昨年、逃げ粘るケイアイダンシングをヤマニンエグザルトとダンディキングが一気に捉え、そしてゴールまで叩き合いを演じた。まさにその再現のようなレース。昨年と違うのは、ヤマニンエグザルトが昨年のダンディキングの位置にいて、先頭に立っているのはトーホウライデンというところだ。
ヤマニンエグザルトも昨年の覇者の意地か、ゴール寸前まで諦めることなく追い上げる。1馬身ほどあった差が半馬身ほどになった。だが戦いはそこまで。ゴール板を見て勝利を確信したトーホウライデンの鞍上・高橋悠里騎手が大きなガッツポーズ。騎手・馬とも初重賞、歓喜のゴールを駆け抜けていった。

一番!とアピールしながら引き上げてきた高橋悠里騎手
2着はハナ差でヤマニンエグザルト。そして3着は最後の最後で伸びを発揮したマンジュデンコウベ。以下スパロービート、メタモルキングと続いた。これが復帰戦だったオウシュウクラウンは大きく離れた最下位に終わった。
勝ったトーホウライデンは父ブライアンズタイム・母アングシヤスフレンドの牡6歳。JRA未勝利から転入して下級条件で連勝をしていた頃は「トーホウエンペラーの再来」ともいわれたが、その後は伸び悩んだ時期もあって昨年4月の岩手日報杯が初特別。その後は上級で活躍しながら力をつけ、最近はオープンでも勝ち負けを演じるようになっていた。
次戦は、このまま順調にいけばクラスターカップになる模様。
なお、このレースは社台スタリオンステーション協賛・スタリオンシリーズの「ローエングリン賞」となっており、優勝馬の馬主には副賞としてローエングリン号の配合権利が贈られた。
前走は1200mでいいところがなくて、今回はマイルで優勝。でもだからといって1200が合わないとかマイルが合うとかいう事ではないと思う。馬の気持ちというか、勝つ気満々で乗ったらちっとも動かなかったり、ダメ元でいったらあっさり勝ったり、つまりそういう難しいところがある馬なんだと思います。(村上 忍騎手)