 ゴールデンクリークとの競り合いを制し、リュウノツバサが一冠目を勝ち取った。(Photo/横川典視)
3歳ダート三冠の第一戦にあたる阿久利黒賞はリュウノツバサが接戦を制して優勝。トライアルに続き連勝すると共に、三冠に向け、まずは一冠を手にした
戦前、リュウノツバサに騎乗する村上忍騎手は、どんな戦法で挑むかでかなり悩んだという。先行するとはいえスタートダッシュはそれほど速くない馬だけに、他馬に内外から行かれたら前に出る事ができない可能性もある。
特に隣は快速エイプリルボーイ。他の陣営も一目置くこのスピード馬が、いくら逃げ馬不利の状況とはいえ、先行争いで引くとは思えない。
「もしかしたら中団から競馬をする事になるかもしれないと思っていた。でも、調教師からも“先行策だけでなくていい、中団でもいい”と言われていたから、その点は気が楽だった(村上忍騎手)」
そんな思いをめぐらしつつ迎えたスタート、リュウノツバサ&村上忍騎手にとって思わぬ出来事が起きた。ゲートが開いた瞬間、ジャンプ気味のスタートになって出遅れてしまったのだ。
1馬身ほど後手を踏んだリュウノツバサ。しかし「むしろこれで腹が決まった」と、村上忍騎手は控える競馬を決断。最内に進路を取りつつ、先行グループの一角にポジションを占める事になった。
先頭は予想通りエイプリルボーイ。2番手にはこれも快速馬ウィンエヴリーがつけ、ゴールデンクリークはその直後。エイプリルボーイの逃げはそれほど速くはないペースで、ハロンラップ12秒台前半〜後半を行き来する淀みない流れをつくる。
これはもちろん、エイプリルボーイにとっての楽な流れ。徐々に追っつけながらの追走になっていく後続には意を介さず、向正面から3コーナーへと、エイプリルボーイは黙々と逃げ続ける。
3コーナー、ここでゴールデンクリークが勝負に出た。後退するウィンエヴリーを交わすとエイプリルボーイに並びかけ、早々と先頭に出たのだ。しかしその直後にはリュウノツバサが迫っており、こちらもゴールデンクリークに負けず劣らずの手応えで直線に向くのを待っている。すっかり苦しい位置になったエイプリルボーイだが、それでも懸命に最内のポジションを死守しているのが見える。
後方に目をやるとコンバットキックとリュウノアシェイブが並んで追い上げてくるところで、4コーナーの時点で先頭から5、6馬身にまで迫ってきていた。
3頭一団で突っ込んだ直線、いざ追い出しにかかったゴールデンクリークだが「ずっとフワフワして手応えを感じさせなかった(板垣騎手)」という事のせいか、少しふらついて外のリュウノツバサと接触する。
これで2頭の脚が一瞬鈍った隙にエイプリルボーイが先頭を奪い返したが、外2頭が態勢を立て直すと、ほどなく焦点は外の2頭の戦いに移った。
2頭が並んでいたのは、しかし、つかの間。すでに脚色はリュウノツバサ優勢になっており、形勢は「突き放そうとするリュウノツバサ、喰らい付こうとするゴールデンクリーク」に。リュウノツバサはややささり気味になってなかなか抜け出せなかったのだが、最後、追いすがるゴールデンクリークを明らかに振り切った所がゴール。半馬身差で一冠目の勝利を手にした。
3番手にはエイプリルボーイが粘り切り、追い込んできていたコンバットキック・リュウノアシェイブの2頭はリュウノアシェイブがわずかに先着。1番人気コンバットキックは5着に終わった。
勝ったリュウノツバサはは父スリリングサンデー・母ソウルフラッシュの牡3歳。前走のスプリングカップでは特別戦初挑戦で優勝。このレースも勝って一気に3歳戦の主役の座に躍り出た。鞍上・村上忍騎手は留守杯日高賞につづき3歳牡牝の一冠目を制覇。管理する新田守調教師はドリームキッズ(01年野菊賞)以来の重賞制覇となった。
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外枠でもあり、揉まれないように外から行こう、他の馬の動きを見ながら行こう、とレースを進めようとは思っていました。スタートダッシュが速かったので楽に思ったポジションが取れたし、速い流れにも良くついていった。最後、交わすところもしぶとかったですね。周りの馬はC2にしてはレベルが高かった。この馬の力もなかなかのものでしょう。(小林俊彦騎手)