コースにすっかり水が浮き、朝から極端な先行有利の状態が続く水沢競馬場。銀嶺賞も結果的には前・前の決着となったのだが、人気通りすんなり、というわけにはいかなかった。
ハナに立ったのはケイアイフォーユー。これを1番人気ステキナリングがマークして早々にイサコバ体勢が形成される。ペースもやや遅め、ステキナリングにとっては絶好の位置取りかと思われた。
この辺りの各馬の位置は、先頭ケイアイフォーユー、2番手ステキナリング、そしてその後ろの内にグレイスオペラ、外にオースミエンドレスがつけてその2頭の間にやや首を突っ込み加減なのがオンワードリリカ。2番人気セイントプラウドは外を通って早めに上昇しようという位置におり、全体的に前残りを意識して早めに前々に以降というムードが感じられる流れだ。
異変は1番人気の馬から始まった。ケイアイフォーユーの後ろに付けて進んでいたステキナリングだが、向正面半ばを過ぎたあたりからもう手綱を押し始めたのだ。しかしその後ろの馬群はむしろ手応えの怪しくなったステキナリングにあわせるようにペースを落とし、結果ケイアイフォーユーが後続を2馬身ほど引き離す形になる。
実はケイアイフォーユー・菅原勲騎手は、後ろの馬と共に内をぴったり閉めておくつもりだったようだ。レース半ばまではその通りだったのだが、ここでできた2馬身ほどのスペースが誤算となってしまった。これでずっと内にいたグレイスオペラがすんなり外に持ち出せ、さらにはオンワードリリカもそこを通って前に出てきてしまう。オンワードリリカは若干離れていたが、グレイスオペラはするするとケイアイフォーユーの外に並び、あっさりと前を射程圏に納める事に。
直線はこの2頭の戦いとなった。ケイアイフォーユーもよく粘ったが、勢いは終始グレイスオペラの方が勝っていた。グレイスオペラにムチが入ったのはケイアイフォーユーに並んで交わすところまで。いったん捉えてしまえば後ははっきり優勢となり、3/4馬身の差ながらグレイスオペラがしっかりと勝利を手にした。

2着ケイアイフォーユー、3着にはオンワードリリカ。セイントプラウドは早めに仕掛けたものの伸びきれず4着におわり、サスガツヨイが5着となった。1番人気ステキナリングは最後失速し9着に敗れ、8番人気→4番人気→3番人気で決まった馬番3連単は10万610円の波乱となった。
勝ったグレイスオペラは父オペラハウス・母マルカムーンライトの牝5歳。JRA−道営を経て一昨年の冬に岩手に移籍、3勝を挙げて再び道営に移って、昨冬再び岩手に復帰。前走の初夢賞では最低人気から3着に食い込んで波乱を巻き起こしたばかり。2戦続けて波乱の立役者となった。
なおこのレースは奥州市職員による「奧馬(おうま)の会会長杯」となっており、優勝馬の馬主に対し副賞のひとつとして巨大にんじんが贈られた。
人気はなかったけどそんなに走らない馬じゃないからね。ここまでもそこそこ上に来ているし。調教が難しい馬だから長い距離よりは短い方が合うと思うけど、今回はなによりも枠順や展開が良かった。“ハマった”という感じだね。(村上 忍騎手)