13頭が覇を争ったきんもくせい賞だが、単勝人気はサイレントグリーンとボスアミーゴの2頭が抜けてリードしていた。当初はサイレントグリーンが1倍台をキープ、ボスアミーゴが2倍台で推移していたが、レース前にサイレントグリーンのオッズが少し下がり、最終的にはこの2頭が共に単勝2.1倍に。
結果、票数の差でサイレントグリーンが1番人気、ボスアミーゴが2番人気になったのだが、3番人気は9.8倍のコスモダークだったから、いずれ“この2頭のどちらかが勝つ”とファンも評価していたということになる。
向こう正面入り口付近からのスタート、まずはナイキアヘッドがハナを奪ってレースが始まる。これにタイキリオン、マルタカキラリー、クルセイズが加わって一瞬先行争いが激しくなり、レース序盤のペースは2400m戦にしては速いものになった。
しかしそれも1周目のスタンド前を通過する頃にはかなり落ち、先頭ナイキアヘッドと後続の馬群の差もぐっと縮まっていく。このあたりでの各馬の位置取りはナイキアヘッドを先頭に2番手タイキリオン、3番手クルセイズ、4番手マルタカキラリーまでがバラバラと縦長で進み、その後はごちゃっと一団。サイレントグリーンはそんな集団の中で9番手あたり、ボスアミーゴやコスモダークもほぼ同じあたりにつけている。淡々と進みつつ各馬折り合いに専念、苦しい馬が位置取りを前後に動かしている、といった状況。
だが、レースの転機は意外に早く訪れた。2周目の向こう正面に入ってすぐコスモダークやボスアミーゴがポジションを押し上げ始め、先行グループを飲み込むところまで迫ったのだ。これを見てサイレントグリーンも動きだし、レースの流れが一気に速くなっていく。
先頭は必死にリードを守り続けるナイキアヘッド、この馬が4コーナーまでレースを引っ張り続ける。が、タイキリオンやマルタカキラリーはすでに振り落とされ気味で、替わって先頭を狙う位置についたのはクルセイズ、コスモダークやボスアミーゴ、そしてサイレントグリーンにガッサンカーネギー。今回は内を突く馬はなく、人気上位の5頭がコース外目に集結して直線の攻防へとなだれ込む。
直線・坂の下、ここまで早め早めに動いてきたボスアミーゴが一気に先頭に立つ。しかしそれをクルセイズが差し返して坂の上ではこちらが先頭に躍り出た。どちらも先頭に抜け出てしまうと脚色が鈍る馬、2頭並んで懸命の追い比べを続けるところに、今度は後からサイレントグリーンとガッサンカーネギーが、こちらも2頭並んで猛烈に迫ってくる。
ゴール寸前、ボスアミーゴがクルセイズを捉えて再び先頭に抜け出す。そのままこの2頭が並んでゴール板を通過しようとした瞬間、後の2頭もほぼ同時に飛び込んできた。ゴール板を通過する瞬間はまさに4頭一線、最内クルセイズがやや不利に見えたが、それでもほとんど同時にゴールしたと言っていい大接戦だ。

この争いの行く末は写真判定となったが、戦った騎手たちにはどの馬が勝ったか分かっていたようだ。真っ先に引き上げてきたボスアミーゴの鞍上・菅原勲騎手は笑顔で馬を下り、サイレントグリーンの板垣騎手やクルセイズの阿部騎手は悔しそうに苦笑いをしながら下馬。結果もその通りで、1着ボスアミーゴ、アタマ差2着にサイレントグリーン、3着はハナ差で外ガッサンカーネギー。クルセイズはさらにアタマ差遅れての4着。しかしこの4頭までがタイム差無しの際どい勝負だった。
勝ったボスアミーゴは父アドマイヤボス、母サクラユキクインの3歳牡馬。地元3歳の芝レースでは敵無しで、古馬に混じっても実力通用を証明ずみ。今回は距離が心配されたが無事乗り切り、岩手の古馬オープン級の芝重賞で初めて3歳馬による優勝を成し遂げた。
なおこのレースは社台スタリオンステーション協賛・ネオユニヴァース賞となっており、優勝馬馬主には副賞としてネオユニヴァース号の種付け権利が贈られた。(写真右・目録を手にする馬主・千葉浩氏)
馬の状態は悪くないし、相手もほとんどが今までに勝っている面々。なのでレースは楽でしたね。強いて言えばコースのどこを通って抜け出すかだけ。コースの内が悪いというので皆外へ行ってゴチャつくから、逆に内を通ったほうがすんなり抜けられるかなと。そこだけでしたね。(菅原 勲騎手)